アークでのボランティアを始めたのは、1年間チェンマイでの留学を終えた後でした。
チェンマイで勉強して、遊んでいるだけで、タイでしかできないことをしたいと思い始めてすぐ、その決定打になったのは、アークの代表である堀内さんの存在とプラオという田舎町でした。
人伝てでたまたまアークと堀内さんの存在を知り、まさに、こんなところに日本人?!という驚きが一番最初にありました。
プラオに位置するランマイ図書館は、地域に根ざし、居心地よく、誰でも快適に時を過ごすことができる居場所です。それは建物や環境は1つの小さな理由で、実は、心地よい雰囲気とそれを生み出しているスタッフの方々と子供たちの笑顔が、大半の理由でした。そしてそれは、柔らかいけどどこか力強い、堀内さんの人柄が作り出したものなんだと、初めてプラオを訪れた時に確信しました。
僕自身、地方で暮らしていた経験からか、プラオは居心地良く、町には元気なタイ語が飛び交い、僕のことを外国人だとわかるとすぐに簡単なタイ語や英語を話してくれました。そんな町の人の温かさに触れながら生活できることが嬉しく、プラオで暮らす決断に至りました。
プラオに移ってからすぐ、チェンライに位置する山岳民族のアカ族の方々が暮らすウィアンパパオ郡シップラン村に1週間のホームステイをしました。
とにかく1週間で得れるもの全て得て帰ろうと思っていました。しかし良い意味でそれは上手くいかず、それ以上のものを得ることができたと思っています。山岳民族の暮らし、文化、美味しいご飯やホストファミリーと過ごす時間まで、短い期間の中で多くのことを堪能できました。
1番の驚きは、山岳民族達のチーム感溢れる生活と、万屋のような村の大人たちでした。誰かが食や農業で必要な肥料を町などで手にして村の人たちに配り、親が不在なら子供を誰かが預かり、ご飯も作り、「一人で」など存在しない村の風習は生きてきた中で見たこともないものでした。また、ある日は保育、ある日は建築業、ある日は農業、1週間の中でいくつもの仕事をこなす村の大人たちは、まるで万屋のようでした。ホストファミリーの方曰く、1週間じゃ村の一部も知れてないらしく、そんなまさかと思いながらも、また新しい経験をしに訪れたいと思いました。
プラオでの活動は、図書館でスタッフの方の手伝いをしたり、移動図書館について行ったりと、自分のペースでやりたいことをさせてくれました。プラオで過ごしながら、この図書館は町にとって必要とされてる存在なんだなと感じました。特に、本と学習の影響力の大きさについて、改めて気づかされました。町を出たことなくても、世界を知らなくても、本が教えてくれる。知識がなくたって、本が養ってくれる。スタッフのジウさんの読み聞かせが、タイ語が分からない僕にもメッセージを伝えてくれました。そんな環境が揃う図書館には、毎週本を求めて、新しい何かを求めてやってくる大人や子供たちがいます。当たり前に存在する物には感謝しなくなってしまいます。図書館にくる大人や子供たちが、そんな僕の固定概念を良い意味で壊してくれました。
2ヶ月という短いボランティアの期間は、新しい何かを得るというよりも、大切な何かを気づかせてくれる貴重な時間でした。
スタッフの方々もみんな優しくて、面白くて、僕にとって図書館を安心できる場所にしてくれました。
プラオで生活したことは、今後の僕の糧になります。見たもの知ったもの、そのほとんどが僕の自信になり、次のアクションへと変えてくれると思います。
そんな機会を与えてくれた堀内さんをはじめ、スタッフの方々、町や村の大人、子供たち、全ての人に感謝します。
ありがとうございました。
またいつの日か、プラオで会いましょう!
岩井 元