皆様

サワッディー・ピー・マイ・カー!新年明けましておめでとうございます。タイ
では、4月の13から15日までがお正月(ソンクラーン)の三が日(?)とさ
れ、みんな実家へ帰ったり、お寺参りに精を出したりします。今週からやっと通
常通り街が動き出しましたが、まだまだお正月気分は抜けていません。改めまし
て、今年も皆様にとってよい年となりますように!

タイは、一年でもっとも暑い季節を向かえ、一歩外へ出ると無料でサウナ体験が
できてしまいます。たまに雨が降ると、緑がほっと一息ついているのが感じられ
ますが、一晩寝たら再びサウナ開店です(笑)。救いは、果物がどんどん甘
くジューシーに、しかも申し訳ないぐらい安く手に入るようになってきたことと、
あまり蚊がいないことでしょうか。

赤シャツ集団はまだ等分解散しそうにありませんが、先週お伝えしましたように、
暴動の渦中に飛び込んでいかない限り、街は平和そのものです。あえて言えば、
私の古いほうのパソコンが壊れてしまったのですが、パソコン関連のサービスを
一手に提供している建物が、赤シャツ本拠地の近くにあるため近づけず、ちょっ
と困っています。長引くのは避けられそうにありませんが、やけになってまた犠
牲者を出すような恥ずかしい行動はやめてほしいと思うこのごろです。

前置きが長くなりましたが、第2号の主なニュースをごらんください。

1.カラフルな子供たちが資金調達をサポート
2.アーク、タイのマスコミデビュー?
3.「協会か財団か、それが問題だ」
4.アークのお話キャラバン、東北で来月スタート
5.子供の本たちに第2の故郷を
6.(注目記事)アークの新しいスタッフ紹介

それでは、最後までお楽しみください!
1.カラフルな子供たちが資金調達をサポート

ニールソン・ヘイズ図書館は、バンコク最古の英文書籍専門の図書館です。20
000冊の蔵書を持ち、都内に住む英語使用者に多く愛用されているばかりでは
なく、地域に根ざした活動も頻繁に行っているそうです。

そのひとつが、今回アークも参加させてもらっている「読書マラソン」です。3
月に始まったこの取り組みでは、一部を図書館の児童図書購入に使用し、一部を
NGOなどのプロジェクトに寄付するという目標の下、子供たちが読書を通じてフ
ァンドレイジング(資金調達)を行いました。アークは、今年の読書マラソンで
集まった寄付金の一部をいただけることになっています。

今回の読書マラソンには、4校のインターナショナルスクールから、600人あ
まりの子供たちが参加してくれました。子供たちは、マラソンの開始と同時に、
「私はこの活動終了までに○○冊の本を読みます」という契約書を書き、それに
協力者(家族や親戚、近所の大人など)がサインします。子供たちが目標を達成
できた暁には、サインした大人たちが約束した金額を子供に支払う、という仕組
みです。子供の読書を強化するとともに、地域社会に協力できるという点で、大
変優れたコンセプトだと思います。

子供たちの協力に対する小さいお返しとして、私は2校のインターナショナルス
クールで、障害者に関する出前授業をさせてもらいました。一般のマスコミがし
ばしば伝え忘れている障害者のポジティブなイメージを、子供たちに少しでも伝
えられたら、と思いながら子供たちと楽しい一時を過ごしました。みんな
興味津々で、白杖を使っての目隠し歩行を試すときには、ほとんど全員の手が挙
がり、先生方も選ぶのに苦労されていたほどでした。当日の様子は、添付の写
真でご覧ください。

10歳にも満たない彼らの好奇心は本当にうらやましいほどです。「どうやって
レストランでメニューを読むんですか?」とか、「どうやって自分で服を着るん
ですか?」などという重要な質問に、私はわくわくしながら答えました。この子
達が、大人になってもすべてのものに疑問を持ち、質問することをいとわない大
人に育ってくれることをこっそり願いながら。

5月15日の読書マラソン終了式で、また彼らの何人かに会えるのをとても楽し
みにしています。ニールソン・ヘイズ図書館のボランティアであるアンマリーさ
んと、この活動にアークを推薦してくださったオランダ人のマーヤンさんには、
大変感謝しています。
2.アーク、タイのマスコミデビュー?

3月30日、NBTという全国版テレビチャンネルで、アークを取り上げてもらい
ました。10分間ほどの短い番組でしたが、プロジェクトが始まったばかりのこ
の段階でメディアに報道してもらえたことは、アークにとってとてもラッキーで
した。

又、先日お会いした若者向け月刊誌、ア・デイの編集者も、近々アークを掲載す
るとの約束をしてくれました。バンコクで働く人たちに多く読まれているア・デ
イに載ることで、きっと多くの人にアークを知ってもらえるし、協力してくれる
スタッフも集まりやすくなると、後ほどご紹介するボランティアのパットやジュ
ムと楽しみにしているところです。
3.「協会か財団か、それが問題だ」

2月にバンコクに来てから、アークの団体登録は、大きい悩みの種でした。すで
にNGOを運営している人や、NGOと常に連携をとっている財団の職員、タイ人にも
外国人にも相談しました。思わずしり込みしたくなるような立派な法律事務所に
相談にも行きました。プラスやマイナスを考え合わせた結果、アークをタイの財
団として登録することに決めました。今、法的な手続きを手伝ってくれる弁護士
と交渉しているところです。不安定な政情から考えると、通常でも3-6ヶ月か
かる登録のプロセスに、さらに長く時間を要する可能性もあります。でも、少な
くとも今後進むべき方向が定まって安心しています。
4.アークのお話キャラバン、東北で来月スタート

アークは、来月にはニーズ調査を兼ねたお話キャラバンを地方ではじめようとし
ています。東北の県のひとつにある盲学校で働く友人が、郡の下の行政区分であ
るタンボンの事務所(ここが障害者登録を総括しています)や県立の特殊教育セ
ンターと調整してくれています。バンコク近郊での活動を希望するボランティア
さんも多いので、5月に新学期が始まったら、都内の特別支援学校や児童養護施
設などでも活動を始めたいと考えています。アーク通信第3号では、お話キャラ
バンの様子をご紹介できるはずですので、皆さんもう少しお待ちください。
5.子供の本たちに第2の故郷を

アークでは、資源の再活用と予算削減を兼ねて、中古の絵本の寄贈をお願いして
きました。今までに高知県のおもちゃライブラリーから100冊あまりの新品の
絵本を、英国の王立盲人協会から10冊以上の絵本(なんと点字つき!)をいた
だきました。これからは、バンコクのインターナショナルスクールや私立学校に
も声をかける予定です。外国には良質の絵本や児童図書が豊富にあるのですが、
できるだけタイ語の本をそろえて、子供たちの母国語強化を進めたいのです。外
国のサポーターには、タイではなかなか手に入らない飛び出す絵本などの仕掛け
絵本や、点字つきなどユニバーサルデザインに配慮した絵本の寄贈を呼びかけて
います。タイ語以外の本をいただいた場合は、ボランティアスタッフと協力して、
タイ語訳を絵本に貼り付け、子供たちが自由に読めるように手を加えています。
6.(注目記事)アークの新しいスタッフ紹介

2ヶ月前、私はき各所といただいた絵本をスーツケースにつめて、単身バンコク
へ来ましたが、幸いなことにアークは私の頭の中にだけある計画ではなくなりま
した。友人の協力で、ポスターを各大学に貼り出したり、国内のNGO関連のブロ
グに書き込んだりした効果があり、学生や社会人など、さまざまな立場の人たち
から電話やメールで連絡が来ます。ほとんどの場合、実際の農村訪問活動に参
加を希望されるのですが、中の数名は、事務作業などの準備段階からかかわって
くれています。ここで、現在アークのコアメンバーとも言えるパットとジュムを
ご紹介します。

パット: 彼女は、一番初めにメールをくれたボランティアスタッフです。ノン
タブリというバンコク郊外の県に住んでいるので、ちょっと遠いのですが、常に
メールやスカイプで連絡を取り合っています。パットは高校で1年間、大学の4
年間を日本で過ごしました。名古屋の大学を卒業した後、アメリカで国際関係の
修士号を取得し、今年の初めにタイに帰ってきたばかりです。タイ語、英語、日
本語を自由に読み書きし話すことのできる、バイリンガルならぬトリリンガルで
す。ドイツで博士号を取得することを目指しているのですが、タイにいる間はア
ークのボランティアとして働いてくれています。

ジュム: ジュムは、3月に電話をくれました。私のアパートから電車で二駅の
ところに住んでいます。カセサート大学で4年間勉強した後、アメリカで働きな
がら英語を勉強したそうです。その後、メーソットというビルマ難民キャンプの
ある場所で、難民の子供たちやボランティアの外国人にタイ語を教える仕事を1
年ほどしていました。バンコクのインターナショナルスクールで、幼稚園児にタ
イ語を教えた経験もあります。それらを生かして、現在自宅で外国人にタイ語を
教えているさわやかな実業家です。

これからも、どんどんアークの仲間が増えるよう、皆さん、日本から応援をお願
いいたします!
長いレポートを、最後まで読んでくださってありがとうございました!皆さんに
全部お伝えしたいと思い、つい長くなってしまいました。楽しんでいただけたな
らうれしいです。誤字脱字が多かったかと思いますが、私のスクリーンリーダー
氏に免じてお許しください。
アークの活動に関してご意見、ご質問などありましたら、いつでもご連絡くださ
い。皆さんからのお声を楽しみにしております。

今年日本の春はとても寒いそうですね。いまだにコタツを片付けられないと友人
がぼやいていました。どうぞお体は大切になさってください。タイにいらっし
ゃる日本人の皆さん、赤シャツに注意しつつ酷暑の4月を乗り切りましょう!

それではまたお便りいたします。

扇風機の回り続けるアパートにて

堀内 佳美